今年2校目の「いのちの教室」は瀬戸内高等学校です。
とても寒い中、全学年の生徒さん約1250名が体育館に集まってくれました。
一部の生徒さんには、別の階でモニターを見ながら講義を聞いていただくという、初めてのハイテク技術に、やや戸惑いながらも、動物たちの声をしっかり伝よう!と気合をいれて臨みました。
私は講義の最初に、なぜ自分が動物の問題に関わるようになったかをお話ししています。
2006年ドッグパークの崩壊を機に、初めてボランティアというものに参加し、目をそらし続けてきた現実に対峙する覚悟ができたのでした。それまでは、ただ単に「自分の犬だけがかわいい」という、ただそれだけの自称愛犬家でした。
ですから、決して高校生たちに、えらそうなことは言えないのです。
ただ、私は気がつくのがとても遅かった。だからこそ、今の若い人たちには、早く動物たちの置かれた現状を知ってほしいと思うのです。
瀬戸内高校にも、たくさんペットを飼っているという生徒さんがいました。
そこで、「あなたにとってペットはどんな存在ですか?」と尋ねてみました。
ざわざわする中、元気な男の子が大きな声で「家族!」とすぐに答えてくれました。
日本中の飼い主がみんな、彼と同じ強い気持ちで「家族」と答えてくれるなら、殺処分もなくなっていくと思います。
殺処分の数、どんな犬や猫が動物愛護センターに収容されるかをお話した後、ドリームボックスと処分までの手順を説明をします。
私がいた体育館2階には、およそ800人の生徒さんがいましたが、この時は誰ひとり身動きもせず、息を止めているのではないかと思えるくらいの静けさでした。じっと画面を見つめる生徒さんの表情は、驚きと悲しさが混じったようなものでした。
その後、パピーミル(子犬工場)や地域猫のお話をしたあと、最後に「なぜ動物を守らなければならないか」を考えます。
決して「かわいいから、かわいそうだから」という感情論ではなく、人間が犬や猫をペットとして社会に組み込んだ「責任」について、高校生ならば十分理解してくれたと思います。
最後に、生徒会長の生徒さんが挨拶をしてくれました。おそらくたくさんのショックを受けた後で、感想を述べるのも難しかったと思いますが、それでも飼い主の責任や、殺処分ゼロへの気持ちなどを頑張って話してくれました。
私も若いころは、「自分には何もできない」と、何もしないまま思い続けているだけでした。
でも、できることはたくさんあるんです。私は探さなかっただけで、探せばいくらでもあるし、作ることもできます。高校生には高校生にしかできないことがあります。
瀬戸内高校のたくさんの生徒さんにも、動物たちの声が届いたと思います。
心強い仲間がまた増えました。先生方にも「大変良かった」という感想をいただき、ボランティア活動への参加も前向きに考えていただいています。
「現実を知ること」
これだけでも、動物たちの置かれている状況は大きく変わってくるはずです。
どんな問題も、解決の一番大きな壁になるのは「無関心」です。
私たちのとても身近な「家族」について、これからも多くの人に、考えてもらえたら嬉しいです。